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メロディヤ探訪 【28】 1968年度のモスクワ・ジャズ・フェスティヴァルの記録盤は2枚が確認されている。その範囲で言えば、出演者の顔ぶれは以前と同路線である。これに出ることが一種のステイタス化したのか、なんらかのシステムが惰性化したと考えるべきか。情報が少ないので安易なことは言えない。急いで付け加えると、記録されている演奏が面白くないと言っているのではない。 この年に収録された曲の傾向として、ロシア民謡・民族音楽のアレンジが少なくない。 『ジャズ68:モスクワ若人ジャズ・アンサンブル①』(33C 020987-8) 1枚目である。昨年も出演したヴラディスラフ・グラチェフ(Vladislav Grachev, trumpet)が率いるディキシーランド・ジャズ・グループによる2曲がくる。1曲目は、民謡曲「ロシアの鐘は単調に鳴る」である。意識してのことだろうが、ディキシー好きのファンには定番曲「Just a closer walk with thee」を思い出させるように仕組んだ演奏と思われる。次は、ロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」で派手に騒ぎ立てる。 次いで登場するのは、前年にも出演したヴィタリー・クレイノート(Vitaly Kleinot, tenor sax)のカルテットで、「春が来る」(ドゥナエフスキー作曲)をいわゆるアーリー・モダン調でリリカルに奏でようと努めているのがわかるが、集中力を欠くシーンが少しあり、素敵な曲だけにちょっと残念かも。 次は、65年盤②の冒頭をボッサ調で飾り、昨年も佳演を聴かせたウラジーミル・クゥーリ(Vladimir Kulli, piano)のカルテット(tb, p, b, dr)が、民謡曲「集い」で陽気にスイングする。フィーチュアされるトロンボーンがなかなか聴かせる。ピアノ弦にタッチしてフォークロア楽器をイメージさせたり、フォークフルートを吹かせたりして素朴な味を出そうとしている。 B面に移り、常連アレクセイ・クズネツォフ(Alexei Kuznetsov, guitar)がしっとりと魅力的なコードを響かせる。今回もトリオ(g、b、dr)で繊細なコラボにより、哀愁味の美メロディを輝かせる。自作の「アリョーシャ」である。これがもしロシア調という設定であれば、もっと真剣にロシア産の美メロ物を探索してみたいと思う。聴き惚れるばかりなり。 次は、アレクセイ・ズボフ(Alexey Zubov, tenor & soprano sax)、ボリス・フルムキン(Boris Frumkin, piano)らによるグループ<クレッセンド>である。前年1967年にはフロントにコンスタンティン・バホルディン(Konstantin Baholdin, trombone)も加わったクインテット編成のクレッセンドで出演し、アゼルバイジャンのムガームを借用したジャズで注目され、第4回プラハ国際ジャズ祭67にも出演してロシア民謡調の曲で国際的な注目を集めたばかりである。ズボフは今やフォーク調ジャズの推進者の筆頭格である。今年のクレッセンドの収録曲もロシア物で、「ロシア民謡に基づいた組曲」の一部のようだ(それでも10分近い)。この演奏からは、ズボフがコルトレーンを吸収していることは明らかである。そしてもしかしたら、コルトレーンの「インディア」「スピリチュアル」あたりの作品にインスパイアされた楽想かもしれない。さらに言えば、昨年ソ連で演奏したチャールス・ロイドの演奏もかなり意識しているのではないか。その証拠に、ロイド・グループの有名なレコードの中から借用した個所も出てくる。プラハ67には実はロイド・カルテットも出演している。音楽的に共感を得たということで、いわば一種の挨拶のつもりで引用したということかもしれない。 『ジャズ68:モスクワ若人ジャズ・アンサンブル②』(024295-6) 68年の2枚目である。A面は、ディキシーランド・ジャズ・グループのメルコノフ・アンサンブル(Melkonov Ensemble)の2曲がくる。1曲目はが著名な作曲家のドゥナエフスキーが作曲した、心やすらぐメロディの「子守唄」である。クラリネットがしっとりとメロディを歌った後、全員で楽しく弾ける。次は、お馴染みのディキシー・ナンバー「聖者が街にやってくる」。英語で歌もやっている。熱いコレクティヴ・インプロヴィゼーションがほとばしる。 次は、ヴラジーミル・セルマカシェフ(Vladimir Sermakashev)のカルテットによる「ロシアの歌」(トラッド民謡)である。いつものようにハンク・モブリーかデクスター・ゴードンに迫ろうかというテナーではなく、昨年ソ連にやってきたチャールズ・ロイドの音色と語り口から始めるではないか。いわゆるひとつのシャレであろう。後でテンポを上げていつもの味のあるファンキー節を交えたハードバップテナーで、大いに受ける。 A面の最後は、お馴染みの名手ヴァディム・サクニ(Vadim Sakuni, piano)のクインテット(tp,ts, p, b, dr)が、エシュパイ作曲の「ディマ・ゴリンのキャリア」をファンキー調に軽快にクックしている。サクニのソロはホレス・シルヴァーそのものというしかない。管楽器奏者は昨年と同じとすれば、リ−・モーガンを目指しているのがありありとしているトランペッターはヴァレーリー・ポノマリョーフ(Valeri Ponomarev)であろうし、小ぶりのソニー・ロリンズあるいはジュニア・クック・ライクのテナーサックスはイーゴリ・ヴィソツキー(Igor Visotsky)ということになる。 B面に移り、またアレクセイ・ズボフの登場だ。いかに高い評価・人気があるかがうかがわれる。こんどはレオニード・ガリン(Leonid Garin, vib, piano)と組んだクインテットによる「ロシアのフォーク曲」(ガリン作曲)である。ここではソプラノ・サックスで気魄のブロウを聴かせる。 次もお馴染みの若き名手登場。イーゴリ・ブリーリ(Igor Bril)のトリオで、ロシア民謡「ああ、草は冬に育たない」。今年のブリーリも魅力的だ。耳が釘付けになる。いかにもロシア風味のメロディだが、フレッシュな響きをもたらし、現代的なフォーク・タッチのジャズに仕上げている、という評価がきっと与えられたのではないかと想像する。 最後もお馴染み、トランペットのアンドレイ・トヴマシヤン(Andrei Tovmasian)のカルテットによる、ペトロフ作曲の「モスクワの歌」である。今回もブラウン〜モーガン路線に磨きをかけたハードッバッパーぶりを示して、痛快なクックぶりである。収録時間が短いのが実に残念。
by jazzbratblog
| 2011-10-17 00:54
| メロディヤ盤探訪
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