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メロディヤ盤探検 【07】 『The Moscow Festival of Jazz Music ②』(C60 22775 007) live in 1984 1984年のモスクワ・ジャズ祭の実況録音LPは3枚出ているようだ。後にMibile Fidelity社からダイジェスト版CD(MFCD 894、1枚物)が発売になっている。私はLP盤②③とCDしか集められていない。CDには、アメリカ産の曲や著名なロシア民謡をわかりやすくアレンジした演奏を優先している様子である。だから、ヴャチェスラフ・ガイヴォロンスキー(Vyacheslav Gayvoronskyトランペット)とウラジーミル・ヴォルコフ(Vladimir Volkov)の「レニングラード・デュオ」(Leningrad Duoベース)他の、独特のオリジナル曲の演奏の多くは落ちている。だからMibike Fidelity社のCDだけでこの頃のソ連ジャズを語るとしたら、大きな食い違いが生じかねないので注意しなければならない。それだけに、盤①を早く入手したい。 さて、LP盤②である。CDから漏れたものから行こう。ゲルマン・ルキャーノフ(German Lulyanovフルーゲルホーン)のカダンスは、国際ジャズ状況をにらみつつハイブラウなアレンジを手がけるが高踏的にならない。ここで演奏しているのは「ヘブライ民謡考」。フルートを浮び上がらた響きはCTIの香りがする。ソロ・パートでは「サマータイム」(ガーシュイン)やら、オーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」やらの引用が相次ぐ。そのたびに大拍手が沸き起こっているが、これは本当の拍手か貼り付けか。けっこう怪しい。 レニングラード・デュオの演奏は「三つのラーガ」の一部とのことで、二人のドローンに続き、ガイヴォロンスキーの吹奏がインド風味から中央アジア風になってきたところで切られてしまい、残念だ。 シベリア方面トムスクのヴァレンティン・ルイサコフ・トリオ(Valentin Rysakov Trio)による「シャーマン」も興味深い。曲名の通りミステリアスなムードがたちこめる演奏で、ベースのアスファト・サイフーリン(Asfat Saifullin)が口琴をビンビン響かせる。不思議にも米国黒人のワークソングとそっくりだ。ライモンダ・ライヴィシュコ・トリオ(Raimonda Raibishko Trio)が奏でたラトヴィア民謡は、サールサルやナイソーオが推進する音楽に通じるしみじしみするバルト風味のバラード。アンドレイ・ジェラカエフ(ギター)とフョードル・イワノフ(ピアノ)・デュオによるスパニッシュ調の痛快な「ジプシー狂想曲」も漏れた。 では②からどんなトラックがCDに入ったかといえば、レオニード・ヴィンツケヴィッチ(Lenid Vintskevichピアノ)の「ロシア中部地方の歌」断章がある。最低音から最高音まで縦横無尽、きわめて雄弁かつダイナミックに駆け巡るが、ほぼ2分では短すぎて物足りないどころか、誤解を招く危険がある。他の録音物で聴くヴィンツケヴィッチはもっともっと多彩な表現力、歌心がある素晴らしいピアニストのはずだ。この2分の演奏では、あまりスイングを解しない豪快さんに思われてしまう。ウラジーミル・コノヴァリチェフ・セクステット(Vladimir Konovalichec Sextet) が奏でる有名な民謡「ノヴゴロドに鐘は鳴る」はほぼ完奏。明解でとっつきやすいハードバップ・ワルツで、よくこなれた佳演と思う。マラータ・ユルディバエフのアンサンブル(Marata Yuldybayev)のバシキール民謡「ナイチンゲール」はしみじみしたモンゴル系の味がする。 メロディヤ盤探検 【08】 『The Moscow Festival of Jazz Music ③』(C60 22481 008) live in 1984 1984年モスクワ・ジャズ祭の実況LP盤③もかなり多彩なセレクションで楽しい。順番にみていこう。 ミハイル・ヤコン率いる「メトロノーム」アンサンブル(Mikhail Yukon’s Metronome Ensemble)が奏でる「ショスタコーヴィチ作曲:前奏曲ハ長調に基づいて」は、ガーシュイン〜ホワイトマン時代のシンフォニック・ジャズ・スタイルにアレンジされた演奏で、派手なリズム変化をシャープにこなし、拍手を余儀なくさせる。 ロシアのジャズ・オーケストラの中でも実力と現代的な曲もこなせるレパートリーの広さを兼ね備えたトップ楽団、オレグ・ルンドストレム楽団(Oleg Lundstrem Orchestra)による「エンブレイサブル・ユー」は、ゆったりとしたノリのかもしだし方がうまいし、ソロもこなれているし、管楽器のアンサンブルも艶があり、ばっちりだ。 グルジア国立放送局オーケストラのメンバーで編成されたというソリスト・アンサンブルは、マイケル・ブレッカーばりのテクを持つテナー奏者セルゲイ・グルベロシュヴィルの独壇場。その「自由なジャズ的対話」と題した演奏は、マイルス・デイヴィスの「7ステップス・トゥ・ヘヴン」とエディ・ハリスの「フリーダム・ジャズ・ダンス」などを折衷して組み立てた曲に聴こえる。 続いて、ロストフ芸大ジャズ・オーケストラの2曲。このオケは批評家筋から学生ジャズ・オケ・ナンバーワンの評価があるとのこと。1曲目は、名アルト奏者ゲオルギ・ガラニアン(Georgi Garanyan)が1966年にこのモスクワ・ジャズ祭のために作曲した懐かしのレパートリーで祝祭的な派手なスイング・ナンバー。ガラニアンがソリストに迎えられ、めでたさを盛り上げるソウルフルなブロウを披露。今回アレンジを担当したのはお馴染みレニングラードのアナトーリー・ヴァピロフ(Anatoly Vapirov)で、テキサス・テナー風のソロでびっくりさせる。あのヴァピーロフが? 2曲目はヴィラ・ロボス作曲「ブラジル風のバッハ第5番で、これもヴァピロフの編曲による。ソロもヴァピーロフ、さっきと打ってかわった独特の音色で、語り口はキリっとして確信的。これで思い出すのが、コルトレーン研究家の藤岡靖洋氏が最近お出しなった著書『コルトレーン』(岩波新書)で、コルトレーンがヴィラ・ロボスを尊敬していた証の一例として、『Expressions』の「オグンデ」を挙げておられた件。ヴァピーロフのフレーズからは「オグンデ」が聴こえるような気がした。少なくともヴァピーロフはコルトレーンを聴いて大きな影響を受けたと自ら述べている人である。 3曲目はアナトーリ・クロル(Anatoly Krollピアノ)指揮のビッグバンドにようる「スターダスト」、4曲目はヴィクトール・ブダーリン(Viktor Budarin)指揮のラージ・コンボによる「マンテカ」と、懐かしき曲のオーソドックスな演奏が続く。後 さて、私はLP盤①は持っていないが、CD収録曲から盤②③収録分を除くと、モスクワ・サクソフォン・カルテットとイーゴリ・ブリーリ(Igor Brilliピアノ)のアンサンブルとのジョイントによる「アイ・ガット・リズム」、レフ・レーベジェフ(Lev Lebedev)指揮するディキシー楽団によるオペレッタ「踊る少女」(ストレイニコフ作)、ダヴィード・ゴロシショーキン率いるレニングラード・ジャズ・アンサンブルによるエシュパイ作「それは恋かしら?」が残り、少なくともこの3曲が入っているはずである。いずれもオーソドックスなアレンジ、スタイルが基調。ブリーリは何をやっても光る。うまい! LP盤①をお持ちの方は、他にどんな演奏が入っているかぜひ教えてください。 1982年にブレジネフ書記長が死去し、後任のアンドロポフ書記長は1984年に死去し、その後任のチェルネンコ書記長は1985年に死去し、その後任にゴルバチョフが就任するという、かなり揺れた中でも、毎年全国規模のジャズ・フェスティヴァルはしっかり開催され、実況録音盤が制作されている。1986年4月、チェルノブイリ原発事故が発生し、ソ連は動揺する。危機を打開するため、ゴルバチョフ書記長はペレストロイカ(立て直し)、グラスノスチ(情報公開)を打ち出したことはよく知られている。そんな中で開催されたジャズ祭を次にたずねてみることにする。
by jazzbratblog
| 2011-05-03 00:51
| メロディヤ盤探訪
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