カテゴリ
全体 アレクセイ・アイギ情報(Rus) セルゲイ・レートフ メロディヤ盤探訪 ピアノ・トリオ (Rus) 管入りコンボ (Rus) クルグロフ(Rus) ガイヴォロンスキー(Rus) スドニック(Rus) バタゴフ(Rus) ヴォーカル物(Rus) Post Kuryokhin Std. ブートマン ソ連ジャズ史関連 ロシアから移住 カフカース出身者 宝示戸&モツクーナス ブルガリア関係 ウラジーミル・レジツキー チェコ関係 ルーマニア関係 ハンガリー関係 ブリリアント ポーランド関係 旧ユーゴスラヴィア 黒い袋をさげる人々の四季 イベント告知 ウクライナのジャズ なんとなく Book / 本 ツアー日誌/添乗員T セルゲイ・クリョーヒン ミーシャ・アルペリン ライヴ報 はじめに Jazz Brat(マガジン)抄録 リトアニアからの風 アレクセイ・クルグロフ 未分類 以前の記事
2024年 03月 2023年 09月 2023年 03月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 04月 2020年 02月 2019年 11月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 04月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 04月 2017年 12月 2017年 10月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 03月 2016年 12月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 04月 2014年 12月 2014年 08月 2014年 05月 2014年 04月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 04月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
【レポート:2017年1月10日「ポスト・クリョーヒン・スタディ」】 2017年1月29日、水道橋のFtarri(フタリ)で、モスクワの音楽家セルゲイ・レートフ氏を迎えて開催された公開研究会「ポスト・クリョーヒン・スタディ」(主宰:鈴木正美氏)の様子を少し書き留めておきます。 おかげさまで30人近くの方々のご参加をいただき盛会となりました。 今回は、2部構成をとり、前半は全4名による報告の部、後半はレートフ氏と日本の有数の音楽家とのトリオによる演奏の部でした。 報告のトップバッターはレートフ氏で、演題は「首都圏外のロシアにおける即興とニュージャズ」。レートフ氏は1956年生まれで、70年代から現在に至る40年近い間、音楽活動を継続してきた人物である。モスクワ在住だが、地方での演奏も多く、広範かつ密な交流を有しているレートフ氏の経験に根ざしたお話、情報、意見を1時間余にわたりたっぷり語ってくださった。アルハンゲリスク、ノヴォシビルスク、クラスノヤルスク、ケメロヴォ、スモレンスク、スヴェルドロフスク/エカテリンブルク他のオーガナイザーや主要ミュージシャンの名が明示されるだけでなく、特色にも言及された。ソ連〜ロシアの即興系音楽に関する歴史書、回想、ジャーナルとしては、ジャズに関する文献は増えて来たが、いわゆるfree improvisedmusicやfree jazzに関する文献はまだ多くないので極めて貴重な報告であった。短時間であったが親友だったセルゲイ・クリョーヒンを含むヴィデオ・クリップ紹介も嬉しかった。 (このレートフ氏の報告は遠からず、なんらかのメディアで全文が公開されることになっています。具体化した際には当ブログにてお知らせします。) その後、3件のショートの報告が続いた。それぞれの演題と主旨をメモしておこう。 岡島豊樹「アゼルバイジャンのジャズ事情 feat. Mugam Jazz」 今日の世界で、伝統音楽、フォーク音楽、エスニック音楽と合体したワールド・ジャズは今では珍しいというほどではないが、アゼルバイジャンのムガム・ジャズのように、イスラム教の国でベテランから若手まで多くのミュージシャンが手がけている例は珍しい。2003年、ユネスコが伝統音楽であるムガムを無形文化遺産(人類の口承及び無形遺産の傑作)として登録したが、そのことでムガム・ジャズが勃興、交流したとするのは短絡的である。アゼルバイジャンでは19世紀末から石油を通じ欧米経済や文化との付き合いを経験しつつ、イスラム教信仰の世俗化が進んだ。ソ連時代にイスラム音楽と西洋音楽の折衷が熱心に行われた。ムガム・クラシック音楽・ジャズ・西洋ポピュラー音楽を理解して折衷を手がけたトフィク・クリエフのような人物がジャズ界に影響力を及ぼした土壌がある。そこに、ムガムもジャズも愛して止まないヴァギフ・ムスタファ・ザデ、ラフィク・ババエフらの秀逸なジャズ・インプロヴァイザーが才能を注ぎ込んで大いに肥沃化した。体制転換、領土問題のような変動に見舞われ、一旦はかすんだにみえたムガム・ジャズだったが、好景気と一定の国情安定と文化遺産の再認識により、かつてない輝きを獲得するに至った。 梅津紀雄氏「後期ソ連の前衛的芸術音楽にみる普遍性と個別性:アルヴォ・ペルトを中心に」 ペレストロイカの時期、グバイドゥーリナやデニーソフのような、いわゆる60年代人の世代の作曲家たちがポスト・ショスタコーヴィチの作曲家として認知され、シュニトケやアルヴォ・ペルトらの作品はコンサートのレパートリーとしても定着した。これらの作曲家の比較を通して、一定の普遍性と個別性との共存を見出したい。彼らの創作の道はかなり似通っていて、前衛技法の吸収を経て、独自の技法の探求に至っていった(デニーソフのように、ある種の転向を経ていない作曲家がいたとはいえ)。こうしたプロセスは、のちに述べるように、日本の現代音楽の作曲家とも比較し得る余地がある。 鈴木正美氏「ラーゲリの中のジャズ―スターリン体制下のジャズと大衆音楽」 ラーゲリの中ではどのようなどのような曲が演奏されていたのだろうか。ラーゲリに送られたジャズの音楽家たちはどのような日々を送っていたのだろうか。これまで日本語に翻訳された強制収容所に関する資料では、悲惨な風景しかほとんど描かれていない。はたして本当にそうだったのだろうか。ラーゲリで8年間を過ごしたエディ・ロズネル(ジャズ・トランペット奏者)の生涯を辿り直すことで、ラーゲリ内での音楽生活を垣間見ようとする試みである。 (以上3件は、当日配布のレジュメからの抜粋。その場での報告は時間の制約のためかなり短縮板となったが、成稿のプリントが配布された) その後、少し休憩を挟み、40分程のライヴ演奏が続いた。過去、共演歴のあるお二人、河崎純(ベース奏者)氏、吉田隆一(バリトンサックス奏者)氏とレートフ氏のトリオによる、まったくのぶっつけ本番の完全即興演奏であった。 公開研究会「ポスト・クリョーヒン・スタディ」は例年と同様に春にも開催予定です。日時・場所等が決まりましたらお知らせします。
by jazzbratblog
| 2017-03-01 21:27
| セルゲイ・レートフ
|
ファン申請 |
||