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メロディヤ探訪 【25】 『モスクワ若人ジャズ・アンサンブル』の67年度LPは3枚も出ているが、どうにか、真ん中の第2部だけ入手できた。67年度はプロ音楽家、アマチュア音楽家併せて26グループが出演した(モスクワ、レニングラード、トビリシ、カリーニン他)。毎度お馴染みの(はずの)、ゲオルギー・ガラニャン、ヴァディム・サクニ、アレクセイ・コズロフといった人気者も出た様子だが、この②には入っていない。それでも、いろいろな意味で楽しませてくれるラインナップではある。順に記す。 A面はまず、マヤコフスキーに捧げた曲ということで「左翼行進曲」(マリシェヴァ作曲)で始まる。演奏者は、エウゲニー・マリシェヴァ(アルトサックス)率いるカルテットである(as, p, b, dr)。VOA等で新しいところもチェックしているという風なサウンドを披露する。ジャズ・メセンジャーズの「ブルース・マーチ」調のリズムにセロニアス・モンク的なメロディを乗せ、サックスのマリシェヴァはエリック・ドルフィーを意識しながらもあまり飛躍はしないで、それでもアジテーションめいたエモーショナルなブロウをしている。 次は、レオニード・ガリン(ヴァイブ)のカルテット(vib, p, b, dr)による「グッド・イヴニング・OBI」。メドレー式に「ウイリアム・テル序曲」「トルコ行進曲」他のクラシック音楽のポピュラー曲をジャズ解釈しながら綴っていく中に、著名なジャズ・フレーズの引用も交えるという賑やかな演奏である。ピアノのヴィクトル・プルドフスキーが上手さを印象づけるが、グループ全体としては一時代昔のジャズという印象は否めない。 続いて、ユーリー・サウルスキーによるビッグバンドVIO-66による、クインテットとオーケストラのための組曲「バラード&ワルツ」。サウルスキーは、大衆の興味をジャズに向けさせるべく、耳あたりがよく分かりやすいジャズのアレンジを手がけていった。その手法はヴォーカル・インストルメンタル・アンサンブル(VIA)と呼ばれ、政府公認の大衆芸術として、多くのグループもそれにならったという(鈴木正美著「ロシア・ジャズ 寒い国の熱い音楽」東洋書店)。イーゴリ・ブリーリのような若く有望な音楽家を多くメンバーに擁しており、しっかりした演奏が聴けるし、秀逸なソロも織り込まれている。ここに収録されたのは曲のほんの一部のようで、物足りない。 A面の最後は、アルベルト・メリコノーヴァ(トランペット)のディキシーランド・ジャズ楽団による「暴れ馬」。 B面はまず、ゲルマン・ルキャーノフ(フリューゲルホーン)のトリオ(flh, p, dr)で「三日目の風」。ルキャーノフ自身の演奏は、同時代の欧米のモーダル・ジャズをにらんだシリアスな演奏で興味深いが、共演者がもっとよければよかったのにと残念な気がしてしまう。 続いて、66年盤にも載ったボリス・リチコフ(ピアノ)のトリオ(p, b, dr)で、今年の「ストレンジ・ラヴ」はさらに聴きものである。まったく同時代の欧米ジャズのトレンドとの時差を感じさせないジャズ演奏である。すでにハービー・ハンコックの『処女航海』あたりをチェックしていたということだろうか。独自にこのスタイルに到達していたとしたら驚きである。 3曲目、ゲンナジー・ゴリシテイン(アルトサックス)とコンスタンティン・ノソフ(トランペット)のカルテット(as, tp, b, dr)による「ベンチにて」の演奏が始まり、数秒でドッキリである。オーネット・コールマン・ライクな曲だ。ゴリシテインはチャーリー・パーカー、キャノンボール、ローランド・カークを研究した後、フリージャズを手がけるようになった人物である。ゴリシテインはオーネットの音を、ノソフはドン・チェリーの音をすんなり出してみせる。ゴリシテインは70年代初期までジャズを続けたが、70年代にはバロック以前の音楽の方に進路を向けてしまった。 モスクワの「若人ジャズ・アンサンブル」祭に出演したのは若い音楽家たちである。1956年のスターリン批判後、おそるおそるジャズ演奏が再開されてから10年程の間は、限られたジャズの情報しかなく、発表の場にも恵まれていない状況だったことだろう。その間に、素晴らしいレベルに達した若者が何人もいたことを60年代のフェスティヴァルの録音が教えてくれる。ブリーリ、サクニ、ルキャーノフ、ゴリシテインと、指向は異なるが、皆、同時代の欧米のジャズ・ミュージシャンと比べて遜色はない。しかも彼らはジャズ演奏専門のプロ・ミュージシャンではない。ジャズ専門のプロ・ミュージシャンが公認されるまであと10年程も待たなければならない。
by jazzbratblog
| 2011-09-24 19:24
| メロディヤ盤探訪
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