カテゴリ
全体 アレクセイ・アイギ情報(Rus) セルゲイ・レートフ メロディヤ盤探訪 ピアノ・トリオ (Rus) 管入りコンボ (Rus) クルグロフ(Rus) ガイヴォロンスキー(Rus) スドニック(Rus) バタゴフ(Rus) ヴォーカル物(Rus) Post Kuryokhin Std. ブートマン ソ連ジャズ史関連 ロシアから移住 カフカース出身者 宝示戸&モツクーナス ブルガリア関係 ウラジーミル・レジツキー チェコ関係 ルーマニア関係 ハンガリー関係 ブリリアント ポーランド関係 旧ユーゴスラヴィア 黒い袋をさげる人々の四季 イベント告知 ウクライナのジャズ なんとなく Book / 本 ツアー日誌/添乗員T セルゲイ・クリョーヒン ミーシャ・アルペリン ライヴ報 はじめに Jazz Brat(マガジン)抄録 リトアニアからの風 アレクセイ・クルグロフ 未分類 以前の記事
2024年 03月 2023年 09月 2023年 03月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 04月 2020年 02月 2019年 11月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 04月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 04月 2017年 12月 2017年 10月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 03月 2016年 12月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 04月 2014年 12月 2014年 08月 2014年 05月 2014年 04月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 04月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
メロディヤ探訪 【25】 いわゆるモスクワ・ジャズ祭の1966年の実況録音盤である。これも聴き応えがある。今のところ、この1枚しか手元にない。他に出ているのだろうか? この盤では1グループ1曲のみ収録されている。 A面は、ボリス・フルムキン(Boris Frumkin ピアノ)のクインテット(ts, tp, p, b, dr)による「Abc」(トヴマシヤン作曲)で始まる。ホレス・シルヴァー・クインテット(米国の黒人グループ)の緩いコピーかな…といったファンキー・ジャズだが、トランペッターのアンドレイ・トヴマシヤン(Andrei Tovmasian)のソロのときは傾聴してしまう。「モーニン」でブームになった頃のジャズ・メッセンジャーズのリー・モーガンではないか。トヴマシヤンは名前から想像されるようにアルメニア出身者とのことである。スターリン批判からしばらくしてジャズが復活し、バップが高らかに奏でられるようになった頃に注目され始めた新世代トランペッター三羽烏の一人である(他の二人は、ゲルマン・ルキャーノフとコンスタンティン・ノソフ)。トヴマシヤンはクリフォード・ブラウンのコピーから出発し、60年代にはオリジナルな表現を聴かせるようになったらしい。この「Abc」はモーガンべったりなので、他の録音を聴いてみたいものだ。フルムキンはその後、ゲオルギー・ガラニャンのメロディヤ・アンサンブル他で名を売っている。 次は、リチコフ・トリオ(Rychkov Trio; p, b, dr)による「歌」(マルティノフ作曲)。リーダーのボリス・リチコフ(ピアノ)は、65年盤②で触れたバップ・グループ「8人組」のピアニストだった人物である。60年代にはすでにかなりの知名度があったようだ。「歌」はベースの弓弾きに伴われた物憂気なラーララのハミングで始まるが、すぐそれは終わり、ブリリアントなトーンのリリカルなフレーズがとめどなく流れる。オスカー・ピーターソン、ビル・エヴァンスを熱心に研究したらしいと書いた本があるが、もっと多くのピアニストを研究したに違いない。 続いて、ヴラディスラフ・グラチェフ(トランペット)のグラチェフ・ディキシーランド (Grachev Dixieland) による2曲、「サヴォイ大通り」(グラチェフ作曲)、「ためらい」(ヴァシリエフ作曲)。前者は管楽器のポリフォニックな合奏を含んだ賑やかなアップテンポの典型的ディキシー。後者はちょっとブルーなメロディで、リーダーが歌心を全開にする。 B面は、ゲルマン・ルキャーノフ・トリオ(flh, p, dr)の「他愛のない話」(ルキャーノフ作曲)で始まる。ルキャーノフは現在も第一線で活躍する大ベテランである(フリューゲルホーン)。独特の知的クールジャズに定評がある。この60年代の演奏からは、すでにバップから手を引き、ファンキーにも興味無さそうで、独自のサウンドを追究していることが窺われる。60年代中盤のソ連ジャズで最もユニークな演奏と言えるのではないだろうか。 次は、ヴァディム・サクニ(Vadim Sakuni ピアノ)が率いるKMカルテットによる「ナターシャに捧げるワルツ」(セルマカシェフ作曲)。モスクワのジャズ・カフェ「マラジョージナエ」(1961年開業)のハウスバンドがこのKMカルテットである。ファンキー基調の演奏である。1962年に米国からベニー・グッドマン楽団が訪ソした際には、マラジョージナエでジャムセッションが催されており、いわばモスクワのジャズの中心地のような店でレギュラーをつとめるグループだけあって、つかみが上手い。有名なキャンボール・アダリー・グループのライヴ「マーシー、マーシー、マーシー」を思い出させるインティメートな雰囲気がある。ソウルフルなテナーサックスのブルーを聴かせるウラジーミル・セルマカシェフ(V. Sermakashev)はアゼルバイジャンのバクー出身。1963年にモスクワへやってきてあっというまに人気者になった。しかし、後年、米国へ渡ってしまった。今も健在だ。 トリは若きジャズ・スター、イーゴリ・ブリーリ(Igor Bril ピアノ)のトリオ、曲は「全てにケリをつけるとき」(イスプラトフ作曲)。わかりやすいメロディアスなフレーズで掴み、通好み、耳達者好みも唸らせる技もさりげなく添える。早くも比較する対象がない、ブリーリ独特の味がする。ブリーリ時代の幕開けを告げる演奏である。実際、60年代後半から現在までブリーリは一貫して現役最高のピアニスト/作編曲として大活躍する。リーダーアルバムの数は少ない方だが、それはあまりにも多くの人から頼ら手伝ったせいであろう。その証拠に、ブリーリは長らく指導者としても慕われて今日に至っている偉い人物でもある。
by jazzbratblog
| 2011-09-23 17:36
| メロディヤ盤探訪
|
ファン申請 |
||