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メロディヤ探訪 【23】 1965年4月にモスクワで、ソ連作曲家同盟とモスクワ市コムソモールの後援によって「ジャズ65」という名のジャズ・フェスティヴァルが開催された。これは以後、モスクワ・ジャズ祭として続いて行く。出演した中から、審査員によって選出された最優秀グループの演奏が選ばれ、その実況録音がメロディヤLP『モスクワ若人ジャズ・アンサンブル (Moscow Youth Ensembles) 第1部』(C01157-8)、『同 第2部』(C01701-8)として発売された。以後、1968年まで実況録音盤が発売された。自分の持っている第1部の盤のジャケットには、ロシア語、英語、フランス語でライナーノーツが載せてある。簡単だがミュージシャンと演奏曲目の紹介が読める。残念ながら、第二部は盤だけでジャケを持っていない。 第1部のライナーを読んでいると、この頃のソ連はジャズ天国ではないのかとさえ感じてきて、面白くて仕方がない。この辺りの事情に関心のある人には、鈴木正美氏の名著『ロシア・ジャズ 寒い国の熱い音楽』(東洋書店)が嬉しい資料となる。 よほどのジャズ通が書いたと思われるが、ライナーノーツ担当氏の御苦労もうかがうことができる。ジャズ関係者の皆さんはがんばっていたようでじ〜んとくる。ライナーからつまんで紹介したい。(第二部のライナー付きジャケをお持ちの方はぜひご教示ください。 → bnuityuy2397@rouge.plala.or.jp ) なお、この第一部の盤には、レオニード・ガリン(vib)・カルテット、アレクセイ・コズロフ(a-sax)・カルテット、ヴィクトール・ミサイロフ(piano)・トリオ、ニコライ・グローミン(guitar)・カルテットという、4グループが収録されている。(第二部の演奏も近く紹介する予定) * * * 【第一部のライナーノーツ】 作曲家、演奏者、モスクワの若者がつめかけた会場は創造の熱気が充満した。参加者には、プロの音楽家や音楽専攻の学生だけではなく、技術系の学校の学生やエンジニア、科学者も少なくなかった。トラディショナル・ジャズから最先端のものまで、多彩なスタイルの演奏が繰り広げられたが、演奏された曲目の半数以上はオリジナル曲であった。それとともにソ連の作曲家による良く知られた曲目をもとにした即興演奏が多々聴かれたこともこのフェスティヴァルの特徴として重視される。 V.ムラデリ(作曲家)を審査員長とし、他の著名な作曲家、音楽批評家、ヴァラエティ音楽オーケストラの指揮者、モスクワ・コムソモール代表たちが審査にあたった。 ●レオニード・ガリン・カルテット:Leonid Garin quartet このグループの演奏歴は長い。多才な音楽家であるレオニード・ガリンのヴァイブはソフトな音色で、明るく軽快であり、聴く者をリラックスさせずにおかない。ヴィクトール・プルードフスキー(piano)のクリエイティヴィティ、アドルフ・サタノフスキー(bass)とアレクサンドル・ゴリョートキン(drums)による秀逸なリズム。これらがブレンドされ、生き生きとして、高度にアーティスティックなアンサンブルを形成している。ここに収録されたうちのフレンニコフ作曲「スヴェトラーナの子守唄」はプルードフスキーとガリンがアレンジを担当した。これこそ既成の人気曲を創造的かつ論理的にジャズ化した好例である。もう一方の「即興曲」はガリン作曲の生き生きとした魅力がある。 ●アレクセイ・コズロフ・カルテット:Alexei Kozlov quartet アレクセイ・コズロフ(alto sax)のカルテットは、素晴らしいリズム感覚と質を具え、創造性に富んだ重要グループである。レパートリーは基本的にメンバーのオリジナル曲である。コズロフ作曲「ジャズ組曲」は独創的な形式をとり、奥深いアイディアがあり、メロディアスな響きのブレンドも興味深い。きわめて個性的な演奏者でもあるコズロフならではの曲である。アルトサックスによる静謐かつ引き締まったメロディが進行するが、その内側には強靱なパルスが脈打っている。ヴァディム・サクニ(piano)は、思慮深い音楽家で、チェンバー・ミュージック・スタイルによるジャズ・アプローチを試みつつ、数々の曲を産み出してきた。サクニが特別の興味を示しているのは即興演奏における和声上の工夫である。それが示された曲「宇宙への5つの階段」は、今回のフェスティヴァル最大のハイライトとなった。サクニはこの5/4拍子の曲をソ連の宇宙飛行士A.レオノフに捧げたのだ。アンドレイ・エゴロフ(bass)とヴァレーリー・ブラノフ(drums)は長年のコンビで、その才能を惜しみなくジャズに費やし、かけがえのないビートを産み出してきた。エゴロフのリズム演奏は活気に富み、ステディなビートを刻み、ソロではめらめら燃えるのが常だ。ブラノフは数学的正確性がある明晰な刻みが特徴である。エクセレントなドラマーの定評に違わず、この曲の音楽をくっきりと輪郭づけている。なお、コズロフとサクニは学校を卒業済みであるが、エゴロフとブラノフはまだ学生である。この二人のリズムマンにとって音楽はいわば第二の「本分」になっている。コズロフ・カルテットは1961年に結成されて以来、タリン、タルトゥ、レニングラード、モスクワなどなどジャズ祭の常連出演者となり、マラジョージナエなどのカフェクラブ(ジャズ・カフェ)にも出演してきた。1962年にはワルシャワの国際ジャズ祭「ジャズ・ジャンボリー」にソ連代表として出演した。 ●ヴィクトール・ミサイロフ・トリオ:Victor Misailov trio ヴィクトール・ミサイロフ(piano)はモスクワの学生で、ジャズのキャリアはまだ浅いフレッシュマンであるが、才能に恵まれていることは明らかだ。リリシズムと熱情のコンビネーションが特徴である。ウラジーミル・チェルノフ(bass)とウラジーミル・アマトゥニ(drums)はミサイロフの意趣を即座に察知してグループとしてまとまる。ブランテル作「ワルツ」、ボビー・ティモンズ作「ストーリー」が生き生きとジャズ・メロディとして奏でられている。 ●ニコライ・グローミン・カルテット:Nikolai Gromin quartet ニコライ・グローミン(guitar)のカルテットはこのフェスティヴァルの直前に結成されたばかりである。グローミンは希有な音楽コンセプトでおなじみのギタリストである。優雅で深みのある演奏は聴衆をたちどころに魅了する魔術的な力を具えている。グローミンはエンジニアとして勤務しているが、モスクワのカフェクラブ、マラジョージナエのオーケストラで才能を発揮してきた。ここ数年はバルト諸国、レニングラード、モスクワなどのジャズ祭にも出演し注目を集めた。1962年にはワルシャワのジャズ・ジャンボリーに出演して喝采を浴びた。ミハイル・ツリチェンコ(alto sax)はモダン・スタイルのサックス演奏を聞かせる。ツリチェンコのサックスは、グローミンのソフトでリリカルな演奏を誉めたたえるように輝かしいパッセージを繰り出す。彼は日頃はアエリータやロマンティキといった若者のカフェクラブで演奏している。ベースはアレクシス・イスプラトフスキー、ドラムはウラジーミル・ズラフスキーである。ドゥナエフスキーの著名曲「飛べ、鳩よ」、グローミンの自作「コリーダ」、映画「白雪姫と七人の小人」から「いつか王子様が」の演奏がここに収録された。「コリーダ」はスペインのボレロを思い浮かべるようなジャズ・ナンバーである。「いつか王子様が」はベース、ドラムスとのトリオで心優しいワルツ演奏になっている。 * * * 拙訳恐縮。レオニード・ガリン・カルテットはMJQをモデルとし、アレクセイ・コズロフ・カルテットはマイルス・デイヴィス・グループ(コルトレーン、アダレー参加期)にインスパイアされたであろうと想像される。ふと元トネタが垣間見えるときもあるが、それでもオリジなるとして示すに足る演奏をしたいという意欲も感じられ、実に興味深い。どちらもメロディに工夫を凝らして親しみやすさを増強している。ヴィクトール・ミサイロフは学生さんとのことだが、同時代のビル・エヴァンス他、実に多彩な語法を身に付けていて驚いてしまう。ボビー・ティモンズの曲を演奏しているが、ウィントン・ケリーの名を思い出す人が多いだろう。ニコライ・グローミンはメロディックなインプロヴィゼーションとエレガントなハーモニーのブレンドがフレッシュである。ドゥナエフスキー作「鳩よ、飛べ」は50年代の米ウェストコースト・ホワイト・ジャズを思わせるフェザータッチの優しさでアレンジされている。「コリーダ」のツリチェンコのアルトはブリリアントな音色で優美な踊りを思い浮かべるような演奏である。
by jazzbratblog
| 2011-07-31 14:21
| メロディヤ盤探訪
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