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巨匠ウラジーミル・タラーソフ(Vladimir Tarasov;drums, percussions)と若手アレクセイ・クルグロフ(Alexey Kruglov:muti-reeds, etc.)のデュオCD『Dialogos/Alexey Kruglov & Vladimir Tarasov』(Solyd SLR 0403)が届いた。2010年2月モスクワにて録音。ソリドはモスクワのレーベルなので、こうしてamazonで簡単に買えるのは嬉しい(ソリドにはおもしろそうなCDが他にも沢山出ている)。これはやはりタラーソフの知名度あればこそか、それともクルグロフの株が上がったからか? これは1日で録った即興演奏セッションだ。インナーの写真ではタラーソフはPaisteの大きいドラを背にしている。冒頭の「Prologue」ではこれが魅力的な音、あえていえば鮮烈な静寂感を産み出していて、一気に『Dialogos』の次元に吸い込まれてしまった。クルグロフは、ソプラノ、アルト、テナーのサックス3本の他、クラリネット、バセットホーン、リコーダー、メロディカも用意した。 「Prologue」のあとの「Suite of Free Sounds」には、<ウラジーミル・レジツキー(Vladimir Rezitsky)追想>との副題が添えられている。タラーソフとレジツキーは同郷人(アルハンゲリスク)である。タラーソフはリトアニアのヴィリニュスへ移って活躍(ガネーリン・タラーソフ・チェカシン・トリオ他)したことも、レジツキーが地元で郷土の風土・文化・音楽を取入れたジャズを手がけたこともよく知られている(鈴木正美著「ロシア・ジャズ 寒い国の熱い音楽」東洋書店)。レジツキーは惜しくも早死にしてしまった。 クルグロフは「1st part」でリコーダーでキラキラっと陽光を放っている。いつものクルグロフなら民謡か童歌を連想させるメロディを引っ張りだして展開するかもしれないが、今回はそうしない。「2nd part」のタラーソフの出だしはさりげなくかっこいい。これが打楽器ソロの達人の技というやつだろう。クルグロフはソプラノとアルトの2本吹きで参入したのち、アルトでレジツキーの独特の「声」を呼び出そうとする(ように聞こえる)。かつて何度かライヴでレジツキーのサックスを聴くたびき、この人のサックス演奏は楽音というより声であり、肉体器官のハーモニーであり、それが奏でるのは旋律というより環境とのハーモニーと名付けたい、などと感じたことがある。このセッションのクルグロフの吹奏からも肉体器官による声が聞こえる。どの楽器を使ってもそうだから嬉しい。 タラーソフのリズム創出もとても面白い。独特だ。静的なシーンでもパルスが内在しているし、スピードが上がったときでも澄み切った落ち着きがあり、決して声高な独善的主張をしない。 「5th part」のクルグロフはサックスのボディのラッパ吹きである。レジツキーは風と化して自然界に溶け込んでいく。 3曲目「Waiting」、クラリネットとブラシの静的な会話。 4曲目「Breakthrough Attempt」、アルトのニワトリ吹き。のどかな庭先。 5曲目「Strange Waltz」、変則的なアクセントが入ったワルツの拍子の上を少しメランコリーなメロディが踊る。 6曲目「Dialog about Albert Ayler」、タラーソフは珍しくパワフルなプレイ、クルグロフはテナーでアイラーばりの激越なブロウ。マルチフォニックスもうまくはまっている。自作「アセンション」に近いメロディーを朗々と奏でるシーンもある。 最後「Epilogue」、タラソフの名技、これぞ境地。クルグロフのクラリネットに再びレジツキーの影が、うっすら見える。 久しぶりにタラソフのライヴをかぶりつきで聴きたい! クルグロフとのデュオでタラーソフを呼ぶ選択肢は無いですか、まさみ先生? 尽くしますので。
by jazzbratblog
| 2011-06-12 12:00
| クルグロフ(Rus)
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